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いい店を、教えてください。(その2)

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いい店、教えてください。(その2)

さて前回では、「いい店なんてない! いい店とは人それぞれだ!」という話をしましたが、はたしてその人にとってどうやっていい店にたどり着くか、ということですね。

いきなりですが、先日仕事で福岡県の小倉市に行ってきました。
仕事も終わり駅前の居酒屋でひとしきり飲んだ後に、「小倉って、ラーメンが有名なんですよね」と話が流れて、若い店員さんにどこがいいかを聞いたところ、「◎◎とかよく行きますけど。ちょっと先輩に聞いてきますね!」と、なかなか出来る感じの子。オジサンは、こんな若者と出会えて嬉しいぞ、と妙にほくそ笑んでおりました。

聞いてきました! と勢いよく帰ってきて出てきた店は「××」。偶然にも宿泊予定のホテルすぐ近く。これは好都合と、店前からタクシーに乗ってホテルに向かいました。(ちょっと離れていたんですね)
さて、タクシーに乗って「△△ホテルの近くの××に行ってください」と言うと、「ラーメン食べるんか?」の返し。

「××が美味しいと聞きまして。どうでしょう? いい店ありますか?」
「このへんでラーメン食べるなら、東洋軒かな。ラーメンは久留米が発祥で、そこの本流を行ってる。僕はここ一本です」
と、年配のドライバーさんが教えてくれました。

道すがら、「ラーメンにいろいろ具材が入っているのは、あれはチャンポンや」「シンプルにスープと麺を楽しむもの」「東洋軒以外は、まあ似たり寄ったり」と、いろいろとレクチャーをいただきながら、酔いもあって話も弾む弾む。

その時、土地勘がないにも関わらず、なんか向かってる方向がおかしくないか? と気づきました。
「これ、どこに向かってます?」
「え? 東洋軒」
えっ!?

一瞬、車内がザワッとしたのは事実ですが、すぐに「まぁ、それはそれでいいか」という気分になりました。
そこまで言うなら、やるなら、ねぇ、という。
ただまぁ、ホテルとはずいぶん逆方向なんですが…。

夜道を走ることおよそ10分。件の店前に、ドヤっと停車するドライバーさん。
が、「味は好みやから、これが絶対いいとは言えんけどね」と。
続けて「僕は、この味が好きで。食べといてもいいと思う」というようなことを言っておられましたけれども。

写真の通り、店はいい面構えです。いい店は、雰囲気も大事。
いざ、入店。

ズドーンと奥に深い縦長の作りで、カウンターが伸びています。趣あるというか、店自体は古いのでヤレ感はそこここにありますが、とにかく掃除が行き届いていて、厨房もピカピカと美しい。
閉店1時間前で、この状態というのも素晴らしい。

厨房がキレイ、トイレがキレイ、掃除が行き届いている。というのは、いい店のひとつの目安だと思います。それだけ、真摯に向き合っているということですから。

メニューも、ラーメン、チャーシューメン、ワンタンのみのシンプルさ。ドライバーさんの言う、シンプルさはここにも。
もうこの段階で、気持ちは「この店いいじゃない」に、グーッと傾いています。
もはや、拉致される形で連れてこられたという話だけで、ひと晩飲めそうじゃないですか。

話がいきなり飛びますが、雑誌を編集する上で大事なことのひとつに「ストーリーがあること」があります。ネタとも言えますが。
ストーリーというと、細腕繁盛記的ないわゆるエエ話を思い浮かべられる人も多いかも知れませんが、そういうものだけでもないんですね。

見知らぬタクシーに連れてこられて入った店、もひとつのストーリー。
そうやって、いくつも出会いを繰り返して、いい店にたどり着くのだと思います。

はたして、出てきたラーメンは、素ラーメンと呼べそうな、確かにシンプルなものでした。
その味がどうだったかは、ドライバーさんよろしく
「味は好みやから、自分で確かめてみて」
ですね。

いい店、教えてください。(その2)

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この記事の執筆者

竹村 匡己

Masaki Takemura

SAVVY編集長

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SAVVY編集長。出生地は京都は伏見。でも、稲荷的な伏見ではなく山のほう。保険会社のSEを経て、京阪神エルマガジン社入社。エルマガジン、サヴィ、リシェ、ムックと転戦し、ミーツ編集部へ。MeetsRegional編集長(五代目)を経て、再びサヴィ編集部に。2019年9月より現職。タイニーでショートカットな女の子に弱いです。

この記事の執筆者

SAVVY編集長。出生地は京都は伏見。でも、稲荷的な伏見ではなく山のほう。保険会社のSEを経て、京阪神エルマガジン社入社。エルマガジン、サヴィ、リシェ、ムックと転戦し、ミーツ編集部へ。MeetsRegional編集長(五代目)を経て、再びサヴィ編集部に。2019年9月より現職。タイニーでショートカットな女の子に弱いです。

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