先だって、某テレビ局のプロデューサーと飲みました。
その時に彼が言っていたのは、「新人ADは、ロケ弁の手配に後ろ向きだ」というような事でした。
「私はロケ弁を手配するためにテレビ局に入ったのじゃない、もっとクリエイティブな仕事をするためだ」という新人の叫びがあるそうです。
なるほど。
テレビ、ラジオに、出版、広告代理店などは、一般的にクリエイティブな職場と思っている人も多いかと思いますが、そもそもクリエイティブな仕事ってなんでしょう?
何かを作ることがクリエイティブな仕事、というイメージなのかなぁ、と思います。
例えばメーカーでも、新製品を開発する部門とか。
料理も、新しいメニューを考えるのはクリエイティブなこと。
と、思っている人は多いのじゃないでしょうか?
じゃあ、ロケ弁を手配するのはクリエイティブな仕事じゃないのか?
答えは、本人の気持ち次第、です。
そのプロデューサーも言っていました。
「ロケ弁を手配することは、テレビマンにとって基本が詰まっている」と。
確かにそうだなぁと思います。
どんなロケで、どんな演者で、スタッフは何人いるのか?
特番なのか、レギュラーなのか。
それによって、弁当の種類、数、予算の上限などなど考えることはたくさんあります。
単純に仕事としてこなそうとすると、お決まりのお弁当を人数分予算内で揃えれば成立します。
仕事としては、それでも問題がないかもしれません。
でも、それではクリエイティブなロケ弁発注ではない。
とても寒いロケの日であれば、仕出しの弁当に加えて豚汁を作って用意する。
でもそれは、ADが作った不器用なものでもいいと思います。
あるいは、話題のカレーショップにケータリングしてもらうとか。
たとえば、そのカレーショップの店主が、ロケに出ているタレントさんの大ファンだったらケータリングも頼みやすいですよね。
しかも、タレントさんがカレー好きだったらなおよし。
ここで重要なのは、カレーショップの店主がそのタレントさんを好きと知っていることであり、タレントさんがカレー好きだと知っていることだと思います。
こうなってくると、ロケ弁発注は、かなりクリエイティブな仕事だと思えませんか?
はたまた、編集とも言えます。
AとBを繋げるという。
実は、ミーツリージョナルでは、毎月締め切りが終わると打ち上げをしています。
この日程決めから、店選びまで、幹事として仕切ることは新人の重要なクリエイティブな仕事です。
ファッション撮影とかになると、かなりの人数のスタッフの交通整理をしないといけないので、その練習という意味もあります。
我々メディアは、番組や雑誌で、視聴者なり読者を楽しませる、のが目標です。
つまり、ロケ弁発注も、打ち上げの仕切りも、参加者を楽しませる、ということではまったく同じです。
つまりつまり、ロケ弁発注が上手い人は、良い作り手になる素養があるということなんですね。
だから、冒頭のプロデューサーの「基本が詰まっている」なる言葉に繋がるわけです。
結局、クリエイティブとは、目標に向かって考えること、だと思います。
だから、何かを作ることじゃなくても、クリエイティブな仕事のやり方はあって、どんな仕事でもクリエイティブにできると思います。
たとえ、トイレ掃除でも、皿洗いでも。
長くやっていると、そういうことが分かってくるのですが、わかりやすさを求める昨今は、なかなかそういう発想ができなくなってるんじゃないのかもなぁとボンヤリと思います。
ホリエモンも言っていましたが、「起業準備中と言ってウダウダしている人は、いつまでも起業できない」と。
自分のやりたいことが出来ないのを環境のせいにするのは、ロケ弁発注をクリエイティブと思えないADと同じだなぁ、と。
イマ目の前にあることを、前向きに面白くやったほうが、面白いと思うのですが。
(なんか説教臭くなりましたすいません)
写真は、某テレビ局のプロデューサーと行った、隠れ家レストラン。