「834.194」
この謎めいた数字が発表になったのは3月のこと。
クリエイティヴ集団、サカナクションの中心人物である山口一郎がラジオで6年ぶりの新作について発表した。
2005年に活動をスタートし、2007年にメジャーデビュー。
洗練されたサウンドにフォークや歌謡曲を思わすような歌詞やメロディであっと言う間に日本を代表するバンドとなった。
飽くなき追求心と探究心、妥協しない断固たる覚悟をもって音楽を作る5人組バンド。
移り変わりの早い日本の音楽界において非常に稀な存在である。
とくにここ数年はライブの演出が凄まじく、先日も大阪城ホールで6.1chサラウンドシステムを用いたライブを開催。
通常のライブのスピーカーというのはステージ近くに大きなボックスのようなスピーカーを設置し、奏でられる音を体の前面で受け止める感じになる。
しかし、この6.1ch Sound Around Arena Sessionと名付けられたライブはホールの壁に無数のスピーカーを設置。
音が縦横無尽に、まさしく魚が水槽の中を自由に泳ぐように音が右、左、前、後ろから聞こえる。
まるで映画館でライブを観ているかのような感覚。
このような事をする為に日本トップレベル音響チームが集まり、ものすごく緻密な計算のもとライブが行われている。
さて、満を持していよいよサカナクションのアルバムがリリース!
2013年以降のシングル曲や代表曲が収録された2枚組。
“35 38 52 9000 / 139 41 39 3000”と銘打たれたDISC-1は新しい道を歩み始めたあの時の感情を思い出すような、「忘れられないの」から始まる。
今までのビートダンスサウンドのサカナクションとは違う、ふわりと横揺れのサウンド。
映画「曇天に笑う」の主題歌「陽炎」やこちらも同じく映画の主題歌だった「新宝島」という馴染みある曲がDISC-1に収録されている。
“43 03 18 9000 / 141 19 17 5000”と銘打たれたDISC-2はこれぞサカナクションというような「グッドバイ」「蓮の花」「ユリイカ」と続く。
サカナクションの音楽はダンスサウンドの中に切なさや寂しさがある。
非常に文学的な歌詞をビートに乗せる。
欧米のパーティーダンスチューンとはそこが大きく違う。
以前、山口一郎がステージで生活の中にある「音」をもっとプロデュースしたいと話していた。
それは例えば洗濯が終わった後に知らせる音、
炊飯器のご飯が炊けた事を知らせる音、
冷蔵庫の開け閉めの時に発する音、
音が耳心地良くなれば自然と生活も豊かな気持ちになれるんじゃないか?
という話をしていた。
実際、パソコンのWindowsの起動音はブライアン・イーノやロバート・フリップという名だたるアーティストが手がけている。
少し話が逸れてしまったが、6年ぶりのサカナクション。
久しくCDなど買っていないな〜という方もぜひ!
※DISC-2の「茶柱」タイトルからは想像つかない曲です。
すごく好き。サカナクションにしか作れない世界。