ここのところ台湾の母の味「魯肉飯(ルーローハン)」を作ることが多くなった。2019年はこれまで既に100人前以上は作っているはずだ。初めのうちは僕が住んでいた台北現地の味を再現することにこだわっていたが、作るたびに日本の友人たちに向けた味付けに変遷していき、最近は現地の味と日本人向けの味のバランスを取りつつ新しいスタイル、自分たちのルーローを産み出すことに躍起になっている。
先日、光栄にも普段からお世話になっているスナックで魯肉飯を出させていただく機会があった。ママの顔に泥を塗るわけにはいかない。僕は普段以上に気合を入れて魯肉飯を作った。現時点での最高の「自分たちのルーロー」、八月のことだった。僕は一番乗りしてくださったお客さんの言葉を忘れることができないでいる。
「このビーフカレー超美味しい~!」
気合を入れて煮込み、様々な野菜や隠し味を足していった結果、僕の魯肉飯はビーフカレーと化してしまったのだった。ちなみに魯肉飯の魯肉とは煮込んだ豚バラ肉のことである。
たしかに台湾において魯肉飯というのは、日本のカレーのように、各家庭・お店によって様々に調理されている。角煮のようなものがご飯の上に鎮座するスタイル、全てが溶け切り二日目の味噌汁かけご飯のようになったスタイル。豆を入れたり、甘かったり、甘くなかったり。
そこで僕は、美味しいカレーを作ることが最高の魯肉飯「自分たちのルーロー」を産み出す近道になるのではないかという“逆転の発想”に至る。「急にカレーを極め始める男っているけど大抵めんどくさい」と元カノに言われて以来カレーは外食派だった僕が、最近はカレー作りに勤しんでいる。全ては魯肉飯のためだ。
今回は現時点での僕のカレーのレシピを公開しようと思う。僕はインターネットでレシピなどを見ているときに、近所のスーパーで買えないような材料が入っていたりするととても萎えてしまう人間なので、近所の西友で買えたものだけでレシピを構築しました。
魯肉飯のためのカレー試作(10人前)
〈材料〉
・SBカレー粉赤缶 …大さじ4
・ココナッツミルク …1缶
・合挽き肉 …300グラム
・ニンニク(スライス) …6粒分
・エシャレット(粗みじん切り) …4~6本分
・玉ネギ(粗みじん切り) …2つ分
・ニンジン(すりおろし) …1本分
・生姜(すりおろし) …大さじ1杯
・ホールトマト …1缶
・豚バラ肉(拍子切り) …500グラム
・卵黄 …10個
・酒 …大さじ3
・コカコーラ …500ml
・胡椒 …適量
・醤油 …適量
・バター …適量
・国産干し椎茸 …100グラム
・ナス …お好み
・舞茸 …お好み
・エノキ …お好み
・ブナシメジ …お好み
⓪下ごしらえ
各材料を材料表の通りにカットしておく。
干し椎茸は水で戻して、細切りにカット。
戻した水はペーパーフィルターなどで濾して取っておく。
①合挽き肉を炒める
フライパンで合挽き肉を中火で炒める。油は敷かなくてよい。
ヘラで固まりを潰しながら挽き肉同士がパラパラになるように。カリカリになるように、焦げる直前までじっくり炒める。
②ニンニク、エシャレット、玉ネギを炒める
鍋にサラダ油を敷き、ニンニク(スライス)とエシャレット(粗みじん切り)を弱火で揚げるように炒める。きつね色になりしっかりとフライドされたら、そこに玉ネギ(粗みじん切り)を加えて、中火に。玉ネギを焦がさないように、3分に1回ほど掻き混ぜながら飴色になるまで炒める。
③ルーを作る
②の鍋にニンジン(すりおろし) 、生姜(すりおろし) 、ホールトマト、ココナッツミルクを加える。ホールトマトをヘラで潰しながら、鍋全体の水分が飛ぶまで火を入れる。ある程度水分が飛んだら、SBカレー粉赤缶を加え混ぜ合わせる。
④煮込む
①の挽き肉、豚バラ肉(拍子切り)、ナス、舞茸、エノキ、ブナシメジを深い鍋で混ぜ合わせる。そこにコカコーラを流し込み中火で煮込む。アクが出てくるので懸命に取り除く。
⑤仕上げ
④の鍋に③のルー、卵黄、酒、胡椒、醤油、バター、干し椎茸(細切り)と干し椎茸を戻した水を加えて混ぜ合わせ、少し火を入れたら完成。
⑥おまけ
残った卵白は、フライパンで炒めてチジミ状にし、最後にカレーの具として皿に添えると美味しい上に無駄にならない。