短編映画の撮影で、今年の六月の頭から僕は台湾にいた。滞在期間の六週間の内、一、二週目は台北でホテル隔離、三周目からまた別のホテルで自主隔離をした。三週間の隔離はしんどい。足腰は弱くなり、頰はどんどんコケ、ヨダレが垂れても気を払わないような感じの生き物になった。自主隔離期間になればコンビニなどには行っていいことになるので、台湾ビールを買い込んで、飲んで寝た。撮影のオファーをもらった時に「隔離明けですぐに撮影はきついだろうな」と予測して、僕は香港から撮影隊がやって来るよりも一週間早く台湾入りしていた。だから、自主隔離が終われば撮影が始まるまで一週間は自由時間にできた。
隔離が終わって一番最初に食べたご飯。爆葱羊肉。読み方はわかりません。
https://goo.gl/maps/6c9ibbdWq3G53gb56
この付近の、名前がない大きなオープンレストラン。探してみてください。
隔離中無性に食べたかったポンデリング。
隔離が終わった後、友達のおばあちゃんが作ってくれたご飯。
自主隔離をしたホテルの前の道路。台北駅付近。
台北駅付近で最も美味しい牛肉麺。劉山東牛肉麺。
https://goo.gl/maps/akaereQQEo9DTvNu9
短編映画は『凪 Plain Sailing』というタイトルで、台湾の高雄映画祭が出資する映画だった。監督のサシャと撮影部の二人、アレンとファイは香港人で、いわば台湾香港合作映画のようなものだ。他のスタッフは台湾現地のスタッフである。
僕は「気まぐれに台湾へ来て、何をするわけでもなく毎日ふらふら生きている日本人青年」の役だった。これはまさに何年か前に台湾に住んでいた時の僕のことで、監督にそう伝えたら「半分は当て書きです」と応えられた。気まぐれに台湾に来てだらだらしていたことが香港の人にバレているのはちょっと嫌だったけれど、まあ仕事になったからいいか、と思う。
自由期間中、台湾に住んでいた時の自分がどんなだったか思い出そうと昔遊んでいた場所をふらついていると、遅れてやって来た香港チームも隔離期間を終えて、やっと撮影地の高雄へ移動となった。高雄は台湾の南にある港湾都市である。僕は今まで行ったことがなかったが、高雄出身の友だちがやたら多かったので勝手に親近感を持っていた。高雄へは高鉄(ガオティエ)という新幹線のようなものに乗って、台北から3時間ほど掛かる。
高鉄の車窓。
次回へ続く
短編映画『凪 Plain Sailing』予告編