初対面の人とは言葉よりも小さな紙の交換から。
大人になるとはじめましての挨拶の仕方も変わる。
社会人になって名刺を忘れると上司から「何やってんだ」と怒られたりする。
小さなケースから55mm×91mmの長方形の紙を差し出し、「頂戴致します」と、恐縮しながらそのカードを交換する。
そして、記載されているデータからその人の情報をゲットする。
「あ、制作を担当されているんですね」「それでは◯◯さんと同じですね」など。
時にはその人の名前が話題のきっかけにもなる。
「音鳴…オトナリさんですか?珍しい名字ですね~」「はい、親戚以外に同じ名字の人と出会った事ありません」というやり取りがあったりする。
名刺を交換した人の顔よりも頂いたその紙を見ながら「ヘェ~」なんて言っている。
そして、その人の名前の近くに記されている役職を確認することも大人に大切らしい。
「取締役」という3文字は「結構偉い人…」に変換される。
学生の頃は名前と学年と部活くらいでお互いの紹介は終わり、そこからその人がどういう人物か共通点を探していく。
聞いている音楽や好きなアーティストが同じだと一気に距離が近くなる。
「え!クリープハイプ好きなんだ!俺も!」「いいよね~クリープ」なんてお互いの「好き」の共通認識が同じだと急に親近感と安心感が湧いてくる。
「じゃあ今度CD貸すよ!」というやり取りは今にして思えば貴重だった。
それがきっかけで仲良くなり、付き合った人もいたな~。
最近はサブスクがメインとなっているのでCDの貸し借りというのは90年代や2000年代初頭に比べたら圧倒的に少ないだろう。
音楽を聴くスタイルもスピーカーではなく、イヤホンやヘッドホンで個人で楽しむスタイルに変わった。
ボクは90年代「ミニコンポ」が宝物の世代なので音楽はシェアして楽しむモノ!という意識が強かった。
しかし、今は音楽を聴く時間は移動中の時も多くすっかりイヤホンで楽しむことの方がメインになった。
ここ数年、音楽との付き合い方はサブスクリプションでまずニューリリースをチェック。
次にランキング、好きな音楽のジャンルやあまり聞いてこなかったジャンル、いろんな国の音楽にアクセス、すっかりお一人様で音楽を楽しむ流儀にどっぷりハマっている。
ボクの場合は仕事柄、そこで出会った音楽をラジオで多く人に出会ってもらうチャンスもあるので意識的に、そして、意欲的に新しい音楽を探している。
先日、出会ったアーティスト。
https://music.apple.com/jp/album/water-single/1699082722
Tylaという南アフリカ出身のシンガーソングライターで、2019年にデビューしてから着実にリリースを重ね、ファンを増やして来た。
今、世界的に注目を集めているアフロビートというジャンルにおける期待の新人アーティスト。
モデルのように美しい容姿に加え、なんとも言えない柔らかい歌声が魅力。
今年7月にリリースされた“Water”はオーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどでヒットチャートの上位に入り、Tylaにとってまさに名刺がわりとなる一曲。
この名刺が世界中の人たちに受け取ってもらえる日もそう遠くない気がする。